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このコーナーでは長谷川ゼミ生が読んだ文献を紹介していきます☆
Vol.1~INDEX~
国立環境研究所社会環境システム研究領域主任研究員。専門は国際関係論。おもな著作に「地球環境をめぐる国際的取り組み」、「京都議定書の国際制度」などがある。
主に地球環境問題への国際的取り組みの歴史をたどりながら、その経緯や各国との比較、その効果等を、地球環境問題への取り組みに関する今までの代表的な研究論文を紹介しながら地球環境政策を考えるうえでとらえるべき視点を述べたものである。
今日地球環境問題に対する取り組みは国際レベルで、国レベルで、企業で・・とさまざまな対策はとられ、会議も条約・議定書も多数開かれ、結ばれてきたものの、いまだ地球環境問題の解決への道は遠い。それは、それらの対策が政策決定者の主観的なものであったり、関係者間での利害調整の結果でしかないなどの欠点があったからである。よって、その欠点をふまえ、包括的に評価・分析された取り組みが必要とされているのである。
まず、問題の原因を生じさせている加害国と問題が生じることによって被害を受ける被害国の関係の違い、保護・保全しようとしている対象の違いによる方法から地球環境問題を分類できるとしたうえで、その分類と状況に応じたきめ細かな対応が必要であると述べている。そして、環境問題に対する条約・議定書における効力を測る方法として①環境の改善度に着目する方法、②締約国の遵守、③国の行動の変化に着目する方法、④締約国の数、という四つのアプローチを紹介し、効力の評価においては関係国の遵守状況と、当該国際法の義務の厳しさとのバランスに重点がおかれる。また、各国が遵守できなかった場合の理由はさまざまに異なるため、遵守を促進するために必要な対処方法も異なる。
地球環境問題で国際協調がいかに成立するのかを考えるためには、まず、国際協調がなぜ目指されるのか、という点について自分なりの見方を明らかにしておく必要がある。
解決が困難と考えられる問題であるにもかかわらず、実際にはどうにか地球環境保全を目的とした国際法への合意が達成されている理由としては①リーダーシップをとる国の存在②科学的知見や対策に関する情報の共有③条約―議定書タイプの交渉手続き④国際機関や議長などの個人の役割⑤地球社会における地球環境問題への関心の高まりがあげられる。環境対策における国の決定に影響を与えている要因や、決定に至る過程については共通点と相違点があり、それが国の態度そのものにつながっていることがわかる。共通点としては、どの国の国内主体も似たような行動をとっていることである。しかし、その結果としての国の決定は、排出量削減積極派のヨーロッパから反対派のアメリカ、欧米の仲介役に徹する日本と、さまざまであり、対策の難易度、世論や議会での認識の違い、国内主体同士の関わり方の違いなどを生む。
国の政策決定を分析する際、一国の政策決定を詳細に見ていくことは重要である。しかし、それだけを見ていては、重要なことを見落とすおそれがある、他の国の政策決定と比較してきて初めて、ある国の政策決定の特徴、長所や短所、今後の課題、が明らかになっていくのである。
国際関係論は、国と国の関係を研究する学問である。しかし、この学問の中でも、ひとつの議論の対象となっているのが、「国」を単一のアクター(主体)として見ることの妥当性である。「国」としての行動をいかに扱うか、について、国際関係論の分野で研究する者は明確な意識をもっていかなければならない。同時に国内のさまざまなアクター・・政治的指導者、科学者、企業、環境保護団体、地方自治体の果たす役割をきちんとみる必要がある。
地球環境問題の多くは、環境問題に全面的に取り組む余裕のない途上国で生じている。これらの国では、自国内の経済発展とそれに伴う公害、それに加えて近年関心が高まってきた地球環境問題の三つの課題に同時に取り組むことが求められている。先進国と途上国が地球環境問題に協力して取り組む場合、常に議論となるのが公平性に関する問題である。経済的な豊かさの水準が異なる国が共通の問題に取り組む際、いかなる基準で取り組みの負担を配分すべきだろうか。この課題に対してしばしば用いられる言葉が「共通だが差異ある責任」である。途上国は、地球環境問題を自分たちの問題としても認識する必要はあるものの、負担の配分は、先進国と比べて差異が認められるべきということである。途上国で環境問題が解決できない背景には、さまざまな要因が挙げられるが、それらの要因についてそれぞれ途上国政府や企業が取り組みやすくなるよう支援するのが先進国に与えられた役割となろう。
環境問題への取り組みは、単にこの問題だけで決定されるわけではない。国家間の関係やその他の問題に影響される。地球環境問題ととくに関連のある国際問題として、安全保障、女性、自由貿易、民主主義、環境関連条約間の関連性などが考えられる。「持続可能な発展」という概念も、環境保全だけが目的なのではなく、環境保全と経済発展を両立するための考え方であった。持続可能な発展の概念と同じように、今まで二つの異なる価値を維持するために個別に進展してきた政策が、互いに他を侵してしまうことになった場合、双方の価値の関係を分析し、それを包括した政策をたてていかなければならない。
今後の地球環境問題の見方として、三つの視点をあげている。まず、これからほとんどの人口増加が途上国で生じること、そして経済成長率が高いのも途上国であることを考えると、途上国を対象とした地球環境政策研究が重要になってくる。また、地球環境問題は多岐にわたるのに、研究で取り上げられるテーマは、気候変動や酸性雨など大気汚染関係が多い。しかし、地球環境問題は、大気汚染だけではないことは明らかである。自然保護を目的とした国際法や、途上国におえる環境問題を対象とした国際法について、くわしく事例を分析してみるだけでも、まったく新しい研究となる。よって、異なる種類の環境問題に対する取り組みをもっと強化する必要がある。これが二つ目の視点である。三つ目に、先にも述べた地球環境問題と他の国際問題との比較も重要である。軍事問題や経済問題と比較して、地球環境問題はどのような点で共通しているのか、そして、いかなる点が地球環境問題特有の特徴であるのか。このような疑問について正面から取り組むことが求められる。
環境問題はそれ自体ではなく、安全保障、貿易、民主主義などさまざまな問題に関係している。つまり、環境問題の深刻化はやがて国家間および国内の争いも生み出しかねないうえ、これは一部にすむ人間の問題ではなく、地球にすむすべての生物にとって共通の問題である。よって、これは長谷川ゼミの今年度のテーマである「平和」の実現にはかかせないものである。そして、それを探求していく上で、この著書にみられるように、さまざまな視点から物事をみる目を養い、政策における行動主体やその課程、原因、効果、国家間の比較などをしっかり分析することが非常に重要である。
タイトルのとおり、地球環境政策について基礎から学ぶことができる。国際機関や国家の政策の歴史から、その過程や比較、成功例、失敗例、さまざまな視点から述べられていて、おさえるべきポイントがみえてくる。個人的には地球環境問題とその他の国際問題との関係における「環境と女性」について興味深かった。環境も女性も「弱い立場」にいる存在であり、この世界では常に「弱い存在」が苦しい状況におかれている。環境問題を考える上でも、結局大事なのはひとびとの「心」だと感じた。
政策に重点をおいた著書なので、地球環境問題はどうして、どのような流れでおきたのかという「原因」についてあまり詳しく述べられていないのが残念である。また、問題解決の道として、国際機関や国家、企業のみならず、一般市民が取り組むべきことも提案してほしかった。
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