長谷川祐弘座長(グローバルガバナンス推進委員会)は、本フォーラムで複数回にわたり発言し、難民支援の実例紹介から議論を開くとともに、日本・韓国・中国の連携を軸とした「地域的リーダーシップ」の必要性を提示した。さらに、安保理改革については「再選可能な5年任期の議席を10増やす」という具体案を示し、日本が世界全体の利益を見据えたリーダーシップを発揮すべきだと訴えた。
レポーター:井門孝紀。
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発言全文
1)
時間がないので一点だけ、チャタジーさんに問題提起をして議論したい。その前に、根本さんやUNHCRの方々から今の難民など困難な状況にある人々に関するご指摘があった。日本はそれに対して何をしているのかという点で、一つの例として、ここにウクライナから来て今私たちを手伝ってくれているリサさんがいる。彼女が現在どうしているか、2〜3分でお話を伺いたい。
2)
小池先生。実は二か月前、東ティモールのラモス=ホルタ大統領がここに来た。その時、共産党の田村党首も同席され、ラモス=ホルタ大統領は「日本は中国・韓国だけでなく、ASEAN諸国やインドとも連携して国際平和に寄与すべきであり、そのリーダーシップを発揮してほしい」と述べられた。日本はどのようにすれば、そのようなリーダーシップを取ることができるのか。
3)
私は、先ほど述べた「日本・韓国・中国」が地域の中心的な軸(フルクラム)となり、その連携がASEANや中国・インド間の関係再構築に推進力(ヴェロシティ)を与えるという文脈で申し上げた。そこには計り知れない可能性がある。
今、世界で欠けているのは「グローバル・リーダーシップ」である。
だからこそ、必要なのは「地域的リーダーシップ」の台頭である。現実として、いま世界は多極化(マルチポラリティ)の時代に突入しており、それはすでに揺るぎないものとなっている。
多極化した世界の中で、多国間主義(マルチラテラリズム)をいかに機能させるか――。
それを実現するためには、加盟国それぞれのリーダーシップが不可欠である。
そして、日本の影響力は、その点において極めて重要であり、決定的な意味を持っている。
ありがとうございます。
この点について、どなたか他にご意見はございますか。
4)
海江田先生、私は三年前に石破総理にも申し上げたのだが、現在、国連の安全保障理事会改革を実際に止めているのは、自らが常任理事国になりたいと考えている六か国である。その中には、アフリカの二か国が含まれており、日本もその一つである。
つまり、これらの国々は「自分たちがP5(常任理事国)のようになりたい」という考えばかりで、自国の利益しか見ていないのが現状である。
しかしながら、安保理の議席を10増やすという点については、すべての国が合意している。そこで、私と明石先生が提案しているのは、「再選可能な5年任期の議席を10増やす」という案である。そうすれば、来年にも日本がその枠に入ることができる。選挙によって継続的に議席を維持することも可能となる。
したがって、求められているリーダーシップとは、自国のためだけではなく、世界全体の利益を考えるリーダーシップである。日本にはその役割を担ってほしいと強く願っている。
