『朝日新聞』日本の国際貢献「人間の安全保障」再び光 (02/02/2018)

 人間の安全保障の概念に再び光を当てて、積極的に国連に貢献すれば「国際社会において、名誉ある地位を占める」(日本国憲法全文)

 去年の12月に日本を訪問し、安倍総理との会談そしてユニバーサル・ヘルス・カバレッジの国際会議へ参加した後に、上智大学で講演を行った。この講演では、核兵器の脅威、世界的なテロリズム、気候変動の悪影響、所得格差の増大などが世界の安定を脅かしていると指摘し、「人間の安全保障」の概念に基づいて「2030維持可能な開発目標」(SDGs)を達成することが、紛争を予防して国際平和と国家社会の安定に繋がると力説した。日本はこの国連事務総長の提案を支援していくべきであろう。

(出典: 上智大学)



 日本国際平和構築協会の長谷川祐弘理事長は、「保護する責任」の信憑性が薄らいで「人間の安全保障」の重要性が再認識されるようになった今に重要なことは、グテーレス国連事務総長が提唱しているように、一般市民が「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」の両方が統合され確保されることによって「尊厳ある人間生活」を営なめるようにすることである。

 トランプ大統領の自国優先主義のアプローチは、第一そして第二世界大戦を導いた道を歩むことになる。日本は今こそ、日本国憲法が唱えたように、日本国民が、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚し、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、国際平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと誓った。名誉ある地位が国連安保理の理事国の座であると思っておられる方々も多いいが、国連では平和活動に地味に貢献している国々に尊敬の念を抱いているのも事実であると言える。日本は国連に取って真に必要なことに貢献し、日本国憲法の前文に書かれているとおり名誉ある地位を獲得していくのも良いのではないだろうかと説いた。

(出典: 宮武 嶺)