「安保理改革」有識者と議員との意見交換会 (31/10/2022)

山本忠通大使の発言


  1. まず、これまでの議論の要点を整理したいと思う。第一に、国連改革の必要性については国際社会にコンセンサスが見られる。そして、機運が出てきた今行うのが良いと思う。今次総会で、アメリカ(バイデン大統領)とロシアは安保理拡大の必要性について言及している。唯一中国は述べていない。第二に、国連改革というときに、日本の勝手な理由と捉えられることは、避けなければならない。日本以外の国の要望にも照らし合わせて主張していく必要があり、そのためには論理的裏付けが必要である。その一つが、今の国連の体制は古いというもので、現代の国際社会の実情を反映していないという根本的問題がある。もはや第二次大戦の戦勝国の時代ではなく、どの地域の国の意思も反映されるシステム作りが重要であり、そのために非常任理事国の拡大が良いならそれを主張する、という理論形成が必要。

  2. 安保理改革だけに止まらず、国連が機能不全に陥る可能性を、ある程度考えなくてはならない。そのためには、機能不全に陥らないための方策と、陥ったときの方策の2つを考える必要がある。機能不全に陥らないためには、アーリーウォーニングやG20のような形で集まるなどの予防外交を強化することができよう。機能不全に陥ってしまった場合に関して、これまでの議論で出てきた総会の活用も1つの案だが、もう1つの方途として国連事務総長の権限を強化することもできる。

  3. このような話を総合して、ただ日本が常任理事国に入りたいからではなく、他国や国際社会など日本以外の視点を持った議論をすることが必要である。

  4. 山口先生の述べられた、拒否権のオーバーライドは良い案であると思う。1カ国だけが反対している状況で、それを認めるのか。特に安保理を拡大した場合に、19対1や23対1でも拒否権は有効なのか、という議論は強いと思う。確かに嫌がるが、袋叩きになっているロシアの実例もあるので、これは案外説得力のある提案になるのではないか。