Siddharth Chatterjee国連中国常駐調整官が多国間主義の再構築と東アジアにおける協力の重要性について長谷川ゼミの学生に講演を行なった(26/10/2025)

10月25日、長谷川祐弘元国連事務総長特別代表が主宰する勉強会が開催され、ゲストスピーカーとして国連中国常駐調整官であるSiddharth Chatterjee氏が講演した。
Chatterjee氏は、地球規模の課題と国際協力のあり方について、多角的な視点から解説した。

はじめにChatterjee氏は、不平等、気候変動、紛争といった現代世界が直面する諸課題が、それぞれ独立したものではなく、相互に深く関連していると指摘した。特に、新型コロナウイルスのパンデミックが、世界に内在する深刻な社会経済的不平等を露呈させたと分析した。
その上で氏は、これらの複合的な危機を乗り越えるためには、国家間の競争ではなく、協力を基盤とした多国間主義への抜本的かつ集団的な転換が不可欠であると強調し、現在の多極化した世界情勢をより適切に反映させるため、国連改革の必要性についても言及した。

さらに、不平等の是正に向けた具体的な方策として、教育を通じた「人的資本」への投資が、国家の持続的な発展にとって最も重要な鍵であると力説。歴史的な資源や権力をめぐる対立が紛争の火種となってきたことを踏まえ、平和な国際関係を構築するためには、有意義な対話と外交が極めて重要であると述べた。
特に東アジア情勢に触れ、日本、中国、韓国は多くの課題を共有していると指摘。三国が対立するのではなく、共通の危機に立ち向かうために団結し、対話と協力を深めることで、「アジアは一つである」という共通認識を育むべきだと強く訴えた。

(レポーター:松島大剛)

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