[Seminar] In the fifth class, we carefully read “International Conflict” Chapter 7 and “Justice” Chapter 4 (15th May 2012)



2012年度法政大学法学部国際政治学科
長谷川祐弘ゼミナール

■ 日 時 : 2012年5月15日(火)
■ 場 所 : 法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見坂校舎 F310教室
■ 作成者 : 江沢 愛美  法政大学法学部国際政治学科3年

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<4限目>
■ 内 容 : 文献精読『国際紛争』第7章
■ 発表者 : 栗栖 萌 (開発経済班)  法政大学法学部国際政治学科2年
成川 由倭 (開発経済班)  法政大学法学部国際政治学科2年
■ 使用文献 : ジョセフ・S・ナイ・ジュニア著 『国際紛争』 P.247~P.281

1. グローバリゼーションとは何か
グローバリゼーションは普遍的・均質性と捉えられることが多い。しかし実際には拡大・発展はするものの、それらの程度には差があることを意味する。21世紀のグローバリゼーションは、「より厚く・より素早く」と表現される。情報革命が大きな要因であったと考えられているが、それに対する政治的反動があることも事実である。

2. 相互依存とは何か
相互依存は源泉・利益・コスト・対称性の4つに分けて考えることができる。1つ目の源泉は、物理的・社会的側面からアプローチすることができる。これは物理的な不足に加え、社会的決定が長期的には経済的相互依存に影響を与えるということを意味する。2つ目の相互依存の利益は、ゼロ・サム、ポジティブ・サム、ネガティブ・サム状況と表現される。3つ目のコストは、敏感性と脆弱性の2つからアプローチをすることができる。現在では情報革命の浸透により、原材料の価値よりも生産品に内蔵されている情報価値の方が重要視されている。そして4つ目の対称性は、比較的安定した依存状況のことを示している。その特徴として、異なる問題ごとに変化すること、小国でも非対称性を操作することができることの2点があげられる。

3. 石油をめぐる政治
1973年以降、石油の国際レジームは富裕国の市場のみで決まるのではなく、産出国が価格に影響を及ぼすようになった。これにより貧しい国へ権力と富の移転が行われたと言うことができる。その理由をリアリストは軍事力や経済力、リベラリストとコンストラクティビストは国際制度の変化から考察している。1973年の時点では石油の影響力はあまり強くなかったが、石油危機の発生により武力介入を防ぐものとして間接的に役立っていた。今後、油田の枯渇、生産性の低下、特異な資源への依存により石油をめぐる政治は一層複雑になることが予測される。

<5限目>
■ 内 容 : 文献精読『これからの正義の話をしよう』第2章
■ 発表者 : 丸山 さゆり (平和構築班)法政大学法学部国際政治学科3年
        中仙道 舞 (開発経済班・正義班) 法政大学法学部国際政治学科3年
 使用文献 : マイケル・サンデル著 『これからの正義の話をしよう』 P.56~P.96

1. 功利主義とジェレミー・ベンタム、ジョン・スチュアート・ミル
功利主義の考え方として、ジェレミー・ベンタムが唱えた「最大多数の最大幸福(The great happiness of great number)」がある。功利主義者は最大多数の効用を最大化することが正しいと考えているが、これに対しては最大数の権利は人間の尊厳と個人の権利を十分に尊重していないという反論がある。
また、ジョン・スチュアート・ミルは『自由論』の中でも述べているように、個人の自由を尊重することが人間の幸福の最大化につながると主張している。その上ミルは、人格(良心による感情)が社会全体の幸福をもたらすと主張している。
ベンタムは質の高い快楽と低いものの区別を認めず、すべての快楽を平等に捉える量的快楽主義を主張しているのに対し、ミルはその区別は可能とし、人間が持つ基準に対する信頼によってなされる質的快楽主義を主張している。

2. マイケル・サンデル「究極の選択:お金で買えるもの・買えないもの」
前の内容とは打って変わって、マイケル・サンデルによる「軍隊の徴兵制」に関する「同意」について、兵士を金で雇えるのかどうかということを考えてみる。ここでは志願制・徴兵制・傭兵制(外部委託)の3つが挙げられるが、南北戦争を例にとってこれらを議論していく。
次に、妊娠・出産における市場の役割、つまり、卵子や精子は金の為に売買されるべきなのか、またはされるべきではないのかということを考えてみる。これについては、市場と人間の生殖能力に関わる契約についても検討する必要がある。