2018 (Journal)

Sen Genshitsu, 15th Grand Master of Urasenke and President of the UN Association of Japan, elucidated the relationship between an individual or a nation and the international community, and pointed out the necessity of understanding what the United Nations stood for. (10/09/2018)

 At the same annual meeting of the heads of UN Associations of Japan, China and Korea held on August 27, 2018 at the Plaza Hotel in Seoul, Professor Ahn Byun-Jun of Korea gave a lecture on a theme entitled “Challenges to the Liberal International Order”.


 日中韓三カ国の国連協会会長会議が2018年8月27日に韓国のソウルのプラザ・ホテルで開かれた。主催国の韓国国連協会からは、韓国国連協会の暫定会長である李浩愼(Ho-Jin Lee)大使、名誉会長の宣竣英(Joun-yung Sun)氏、副会長の宣竣英(Seo-Hang Lee)氏と韓国海洋戦略機構理事長の李端恒(Seo-Hang Lee)氏、朴興淳(Heung-soon Park)教授、朴興淳 (Heung-soon Park)大使と (Suh-Young Chung)が参加した。日本からは、千玄室会長、明石康副会長、伊勢桃代理事と筆者が出席した。そして秋山幸子事務局長と金薫好女史がオブザーバーとして同席された。中国からは中国国連協会の理事であり元国連大使であった王学賢(Wang Xuexian)氏、副事務局長の王颖 (Wang Ying)女史、李雪珪(Li Xueyao)と游百順(You Bishun)の二人のプログラムオフィサーが参加された。国際連合協会世界連盟 (World Federation of United Nations Associations)からは朴銖吉(Park Soo Gil)会長と曹昌苑(Cho Chang-Beom)副会長が出席された。韓国国連協会の暫定会長である李浩愼(Ho-Jin Lee)大使は翌日海外への出張のために、名誉会長の宣竣英(Joun-yung Sun)大使が会議の議長を務めた。


 午前中は主に国連協会世界連盟(WFUNA)の新体制に関しての話し会いがなされ、午後の全体会議ではグローバルガバナンスと国連の役割、千玄室会長による平和を達成する為の必要条件としての個と全体との関係、そして安秉俊(Ahn Byun-Jun)教授による国際自由主義秩序への挑戦(Challenges to the Liberal International Order)と題する講義が行われた。

1. 国連協会世界連盟(WFUNA)の新体制

 午前の協議では、日本と韓国と国連協会世界連盟の間で有意義な情報と意見の交換が交わされた。国連協会世界連盟(WFUNA)は来年より新たな会長が就任し、韓国国連協会からは暫定会長の李浩愼(Ho-Jin Lee)大使がWFUNAの理事に立候補するとの報告があった。

 朴銖吉(Park Soo Gil)会長はWFUNAが120カ国の国連協会が参加している国際連合経済社会理事会のカテゴリー1の協議資格を有する非政府組織(NGO)であると示唆された。そして、最近には進展した三つのことに言及した。第一には、連盟の新たな会長として、ドミニカ共和国のファールナンデス元大統領が10月の理事会で承認された後に就任することになる予定である。第二には、一般社会との連携を深め、国連総会と安保理の議長との会合を設けることになった。安保理の場合には議長国が毎月替わるので、月単位で行わる可能性があるとの見解を示した。そして第三には、維持可能な開発目標(SDGs)に向けて国際社会の啓蒙活動を拡大することになっており、特に目標15と16に関心を集めているとの説明があった。連盟の加盟国は105ヶ国で、積極的に参加しているのは、ドイツ、英国、中国とスカンジナビアの諸国であり、理事会は19国であることが示された。

 国連協会世界連盟の曹昌苑(Cho Chang-Beom)副会長が会費に関して詳しく説明した。会費の額は国連の通常予算の分担金の比率に従って計算されている。米国が20,000ドル支払っているが、日本は中国と同じように3,500ドルほどとなるであろうと述べた。また曹昌苑(Cho Chang-Beom)副会長は日本の存在を示すためにも、日本国連協会がWFUNAの理事会に参加することが望まれていると述べた。連盟の理事会が10月に開かれるので、日本国連協会がオブザーバーとして参加して状況を把握することが良いとの見解を示した。

 千玄室日本国連協会会長が、国連協会世界連盟(WFUNA)がより有意義な活動を行い国際社会でより広く認知されることを願っていると述べた。明石副会長は、日本がこれまでWFUNAに関しては慎重な態度をとってきて、一時的に会費の支払いも留めたことを認めた。伊勢桃代理事はWFUNAがその活動を良り積極的に行い日本の一般市民により深く理解してもらえるようになるべきだと述べた。

 韓国との二国間協議では、千玄室会長の韓国語での挨拶ののちに、明石副会長が、韓国が北朝鮮との関係改善し米朝の仲介役を果たしたことを称賛し、具体的には朝鮮半島の非核化に関して良いイニシアティブをとったことを評価した。韓国の宣竣英(Joun-yung Sun)氏は、今回の会長会議のアジェンダがグローバルガバナンスと気象変動であることに言及した後で、韓国国連協会の暫定会長の李浩愼(Ho-Jin Lee)大使がWFUNAの理事に立候補したので、日本の支持を要請された。そして日本がWFUNAに積極的に参加することを促した。

2. グローバルガバナンスと国連の役割

 全体会議では、グローバルガバナンスと国連の役割に関しての討論が行われた。まずは明石康副会長が、国家平等の理念に基づいて、国連は世界の人々を危険から守る役割を果たすことになっている。しかしながら米国などが多国間より二国間の交渉を優先し、国連がないがしろにされる傾向が表れてきていると述べた。国家間の競争が増す中で、国連が創設された時のビジョンを復活させ、千玄室会長が述べたように、国家間の橋渡しの役割を果たせるようにすべきであると説いた。日本は国連の安保理の常任理事国となることを願ってきたが、その可能性が減少するに従って、国連に対しての関心が薄れてきたが、またまだ貢献できることがあると指摘した。また日本は北東アジアでも隣国と協力関係を深めていくことが望まれると述べた。


 中国の王学賢(Wang Xuexian)代表は、現米国政権が単独主義のみならず、ならず者のように圧力をかけて外交を行うとすることに憤りを感じえないと嘆いた。これ以上に悪意を持って他国を威すことは許されるべきでないと力説した。国連は多国主義の理念の基盤として、グローバルガバナンスの規範と規律を保つためにあり、北東アジアは世界でも最もダイナミックな地域であり、国連ファミリーというべきである。国連事務総長は国連の精神を蘇す必要があり、JCKユースフォーラムの参加者である若者が将来を担っていると述べた。


 韓国の朴興淳(Heung-soon Park)教授が国連は将来を担っており、再活性されるべきであると述べた。そして、難民、貿易などいろいろな分野でグローバルガバナンスを実施していくためには、必要な価値観、文化、技術革新、そして何よりもビジョンを持った指導者が必要であると説いた。

 WFUNAの朴銖吉(Park Soo Gil)会長はWFUNAが市民社会団体との連携を深めていることに言及された。日本国連協会の伊勢理事がWFUNAは維持可能な開発目標(SDGs)の達成にむけて支援することが重要であると指摘した。伊勢理事は自らが会長を務めている国連システム元国際公務員日本協会(AFICS)が行っている中学・高等学校での啓蒙活動を例にとり、WFUNAが具体的にためになる行事を行う必要性を説いた。

 筆者としては、グローバルガバナンスにとっての課題は、対立する概念とか規範をどのように融和させるかであると述べた。すなわち、国連はアイデンティティ(identity)あるいは特殊性(uniqueness)を擁護することが重要であると指摘すると同時に統合(integration)や平等(equality)を推進している。これらの対比する概念を和することが求められている。


3. 千玄室会長: 平和を達成する為に必要な個と全体の融和

 午後のセッションでは日本国連協会の千玄室会長が国際平和を達成するのに必要であることを哲学的な観点から説明された。

(1) 個と全体との関係

 第1に言及されたことは、国際社会を構成している個人や国家と全体の国際社会との関係であった。千会長は、グローバル化がどんどん進む中で「日本らしさ」「中国らしさ」や「韓国らしさ」という言葉がよく使われるが、各々の国のユニークな特徴を意味していると同時に国際社会全体との関係を理解する必要があることを示唆した。すなわち、人類は一つとか同胞であると言われるが、それによって民族性や地域性が否定される結果になってはいけないということである。一つの花だけの世の中なら味気ないですし、多様な花樹が存在することがこの世を素晴らしくするのであり、花々は人間好みで生存しているのではないことを悟るべきあると説いた。すなわち地球の自然の中で生まれてきた植物や動物がそれぞれ独特のものであり、それぞれの地域で生まれ育った人間や民族も、それぞれ地域や環境のもとで生まれ育ってきたことを理解することによってこそ、真の平和が生まれるのであると説いた。このような各々の在り方を知るために国際化という言葉が用いられるべきであり、この地球上で各々の人間同士の交わり、民族そして国家の間での交流が本当に出来ているのであろうかと問うた。

(2) 現象と本質

 千玄室会長が指摘した第2の点は現象と認識の関係であった。

 最近、国家間の交流が増え、人々がお互いに訪問する機会が増えると、人間や物事の表面のみを見て、自分達の主観で評価している傾向が増している感がしてならないと指摘した。そして、マスコミ等が取り上げることだけにたより、各々の国の真の良さが深く理解されていないのが現状ではないかと問われた。かつては、素朴にそれぞれの国の良さを知り極めて人々は自然に交わったものであるが、今は仮面に覆われた上辺のことのみで物事が済まされているように思われると述べた。私たちが観る物事の現象というのは、本質の現れでた姿のことであり、物事の表面に現れでた感覚で捉えることのできる外観的な側面を示すものである。それだけで十分ではなく、内部に存在する事物の本質を知覚することが重要である。本質というのは、端的に言えば事物や出来事の本当の姿のことであり、事物の基礎をなしているもので、その背後に隠れている表面からは目に見えない、内面的なものを示すことである。

(3) 国連の役割

 そして、国連の在り方・立場を真に理解している人々は世界中の国々にどのくらいいるのであろうか。多くの人々が今の国連が、国と国との本当の平和的交流に役立っているのかと疑問視しており、このような情勢のもとで、内容が伴わない巨大化した国連はもっと政治的な役割をしっかりと果たし行動をとってもらいたいと望むと述べた。持続可能な開発(SDGs)は誠に有効なる目標を掲げているが、各国世界の未来にどのような影響を与えられるか注視しており、国連協会は民間サイドのものであり、千玄室会長自身は、完全に民間サイドの人間であるから、そこからこそ見える物があると思っていると述べた。日本からも色々な団体が国連本部で催しを開催しているが、本当に国連に寄与しているのか、自己満足に終わっているのではないかと疑問に思うことも多々あると述べた。飾り物の催しをするのではなく、正に国連の起死回生ともなりえる、維持可能な開発目標(SDGs)を一般の方々に知らしめるべき行動を取ることが重要であると確信していると述べた。

4. 安秉俊(Ahn Byun-Jun)教授: 国際自由主義秩序への挑戦(Challenges to the Liberal International Order)

 全体会議の後の午後のセッションでは、安秉俊(Ahn Byun-Jun)教授が、自由主義に基づく国際秩序(Challenges to the Liberal International Order)と題するテーマで講義を行った。まずは自由国際秩序とは何か、そして、ポピュリズム、保護主義、ナショナリズムが何を意味するか。大国である中国と米国の競合がどう発展するか、そして、自由主義に基づいた国際秩序の将来について分析した。そして、講義の要点として、第2次世界大戦後に米国の指導の下で展開されてきた自由主義に基づいた国際秩序が、トランプ政権の台頭と英国の欧州連合から脱退(Brexit)により、根底から脅威に去られていると説いた。

 トランプの保護主義と「アメリカ・ファースト」政策は、米国の国際社会でのリーダーシップの放棄を意味しており、なおかつ、多国間の合意に基づく貿易やその他のグローバルガバナンス機関の存続にとって非常に深刻な問題となっている。具体的には、トランプの一極主義の二つの最も顕著な例は、TPPと気候変動に関するパリ協定からの米国の離脱であった。米国そして世界の多くの国々においてのナショナリズムと権力政治の台頭は、不安定な移行期を意味する。権力の分配が多極的な世界に向かって発展している。 世界的な経済力の重力がヨーロッパから東アジアにシフトしている現在、中米の競争は、自由主義に基づいて秩序だけでなく、21世紀の世界の平和と安全の著しく影響を与える重要な要素になる可能性が高い。

 リベラル主義者は、自由世界秩序はトランプ時代を超越して耐えられると主張する。しかし、現実主義者は、自由世界秩序はもはや「神話」であると言って反駁している。そして、中道派の学者は、リベラリズム主義者と現実主義者の見解の両方が、メリットとデメリットがあると指摘している。古代ギリシャであった、アテネとスパルタとの覇権争いに示されたように、従来の覇権国家と新興国家が衝突する、トウキヂデスの罠(Thucydides Trap)に陥らないか、北朝鮮の核問題の解決が地球公共財となりえるか問題定義をした。


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