【国際機構論】6月10日 中森 邦樹 アジア開発銀行駐日代表

国際機構論に来ていただいたゲストの方をご紹介する本コーナー。
今回は中森 邦樹アジア開発銀行 駐日代表に来ていただいた前期の講義の模様をお送りします。


【6月10日 中森 邦樹 アジア開発銀行駐日代表】

①ゲストのプロフィールご紹介

京都大学法学部卒。国際協力銀行に入行し、中近東・イギリス・メキシコでの
勤務を経て2002年にアジア開発銀行に入行。前東南アジア局次長。

Japanese Representative Office HP:http://www.adb.org/JRO/


②講義要旨

2008年6月10日法政大学法学部の国際機構論の講義に、アジア開発銀行駐日代表を務めていらっしゃる中森邦樹先生にお越し頂き、「アジア開発銀行の組織と役割―その今日的意義―」というテーマで講義をして頂きました。

講義の内容として、アジア開発銀行とは、世界銀行が地球規模の問題を扱うのに対し、アジア特有の問題を扱い、その客観性と中立性、専門性が特徴である。よって、アジア開発銀行の機能としては、開発途上国に対する知的支援を重点的に行う必要があるといえるとお話ししておらました。

また、アジア開発銀行の財務構造においては、昨年、年間融資総額が100億ドルを突破したが、今後、貸出が限度を超える可能性があり、貸出を減らすのか、それとも資本金を増やすのかが、現在大きな議論となっているということを述べておられました。

2020年までのアジア経済社会の変革の見通しとしては、今後、長期的にアジアの経済成長は高い水準で続くとみられる一方、沿岸部巨大都市に人が集まる都市化に伴い、環境・医療・災害などの影響を受ける機会が増大するということなども指摘しておられます。

アジア経済を見るうえでの留意点として、アジア経済に重要なのは、経済成長率を抑制することを政治的にコミットすることであり、インフレを、今後どのように自分の首をしめない程度に抑制していくかという点が問題であるとご説明していただきました。