[NEWS]2011年11月14日 長谷川教授、民主党の内閣・外務・防衛合同部門会議にて日本の国際平和活動貢献案を提案


“Japan`s enhanced contributions to UN peacekeeping operations”
Professor Sukehiro Hasegawa
14 November 2011
Combined Meeting of Cabinet, Foreign and Defense Affairs Study Groups of the Democratic Party of Japan
Nagatacho, Tokyo

At the invitation of the chair of a meeting of the combined foreign and defense study groups of the Democratic Party of Japan, Professor Hasegawa attended its meeting on 14 November 2011 held at a conference room of the House of Representatives building at Nagatacho, Tokyo.

Professor Hasegawa presented his theme of what Japan can do to contribute effectively to enhance United Nations peace keeping operations. His presentation consisted of three subject-matters: the basic concepts for the legal reform such as a consistency of international law and domestic law; the post- Westphalia peacekeeping and peacebuilding approaches; and the significance of the Security Council resolutions and mandates. He also explained the new principles for UN peacekeeping operations including the importance of legitimacy, credibility and national ownership and the need for Japan to make its contributions to meet the requirements for international community to carry out effectively peace operations. This approach required the consistency of domestic laws and SC resolutions, the continued assistances from peacekeeping to peacebuilding activities, and the need for bringing together various training activities carried out in Japan into an integrated programme under a UN Peacekeeping Operation Center.

Finally he stated that Japan’s assessed payment for UN had been reduced to 12.5% which puts Japan still as the second largest contribution country. Japan should enable more Japanese personnel participation in United Nation peacekeeping operations.

After the lecture, members of the House of Representatives including Mr. Nobuhiko Suto and Mr. Naoto Sakaguchi asked questions and engaged in discussion with Professor Hasegawa on how Japan can increase its contributions in UN peacekeeping activities. (Yusuke Noda)

【内閣・外務・防衛合同部門会議 (第3回PKOに係る勉強会)】
内閣部門会議座長 田村謙治
外務部門会議座長 菊田真紀子
防衛部門会議座長 榛葉賀津也

■ 案件: 1. 文民警察要員経験者からのヒアリング (世取山茂警視長)
        2. 国際機関経験者からのヒアリング (長谷川祐弘 元国際連合事務総長、東ティモール特別代表) 
■ テーマ:「PKO法の見直し」
■ 日時:2011年11月14日(月) 16:45~17:45
■ 場所:衆議院第2議員会館地下2階 民主党A会議室
■ 作成者:近藤れな 法学部国際政治学科3年

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<勉強会概要>
世取山茂警視長
1. 国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)の概要、活動説明
2006年に、治安維持及び回復などを目的として行われたもので、PNTL(東ティモール警察)の訓練も任務の1つである。世取山警視長がUNMIT文民警察コミッショナー特別顧問としてUNMIT文民警察部門でなされた活動に関して説明頂いた。
2. 日本警察の国際貢献
専門的知見を発揮した国際貢献を行うのがよい。制度の改定や企画、訓練が日本の得意とできる分野であり、UNMITによる警察訓練への参加はとてもよい例である。

長谷川祐弘教授
「国連平和活動への日本からの包括的な貢献策とは何か」~37年間の国連での経験から~
A. 法改正における基本的な概念
ウェストファリア体制での支援を乗り越え、ポスト・ウェストファリア社会での平和維持活動を行ってほしい。そのためには以下の3つをポイントとして認識すべきである。
① 国際法と国内法の一貫性…国際法と国内法の位置づけについての理論として、「異質論」、「上位論」、「等位論」があり、関係性については「一元論」、「二元論」がある。日本は憲法が最高法規であると憲法で規定されているが、政府が変わっても国際法は順守していくことが同じく憲法で定められており、国際法と国内法を一元的に考えるべきである。
② 国連安保理決議とマンデートの意義…SC決議は、国際法の基盤であり、平和活動の正統性を確立し、軍事活動を正当化するものである。
③ 地球社会の平和維持としての活動であること…一国または少数の国によるものとしてではなく、「国際社会の一員として」活動を行ってほしい。地球全体の治安維持としての活動であることを認識していてほしい。
B. 国連平和活動での新たな概念
伝統的な原則として「当事国の同意」(consent)、「中立」・「公正」(neutrality, impartiality)、「自衛のみの武器使用」(non-use of forces except for self-defense)があるが、これらは以下の新たな原則に補完される。
① 正統性(legitimacy)
② 信憑性(credibility)
③ 当事国・当事者の責任意識(local ownership)…紛争当事者の責任、当事者意識を明確にするべきである。
平和活動とは多元的なものである。…平和維持活動(peacekeeping)が行われている間から平和構築活動(peace-building)を行う必要があり、各機関は「競争」ではなく「調整」をしながら活動するべきである。これが実施されている例として「Delivery as One」、UNDAFなどがある。各機関が行っている活動を「いかに1つの目的のための取り組みとして行うか」が重要である。
平和構築活動の柱の1つであるDDR・SSR…人道支援、復興開発、治安安定といった役割を持ち、多次元な統合ミッションとしてさまざまな分野があるが、「国造りの一環」として捉えるべきであり、長い目で以て活動にあたるべきである。元兵士の社会復帰(Resettlement)はDDRにおいて最も難しく、日本が最も活躍できると思われる分野である。
C. 日本に求められる包括的な貢献
日本は自らの事業が国際協力全体でどのような位置づけにあるか認識して当たるべきである。国際社会が期待する日本の指導的な役割とは、紛争が起こらないような状況を構築することである。自衛隊の派遣は国際平和協力が目的であり、その目標として上記の役割がある。

① 法的な一貫性…武器使用は安保理決議、マンデートに沿って、国連・人道・文民要員とその施設を防護するべきである。各マンデートにどのような安全維持が含まれているかは重要なポイントである。現地での活動では国連司令部と密接な連携をすべきであり、現地住民に活動の意義を理解してもらうことが活動の成功において重要である。つまり、紛争を経験した現地住民のメンタリティとマインドセットを変えることが重要なのである。
② 平和維持から平和構築への持続的な支援…自衛隊がより多くの復旧、復興支援活動を行うとともに、自衛隊機材の使用、維持の訓練を現地の人々に対して行うべきである。東ティモールでは、自衛隊が緊急人道支援で使用した重機を扱う訓練がなされ、現地住民による国造りに活かされている。
③ 国連平和活動 統合訓練センター (UN Integrated Peace Operations Training Center)の設立
現在は外務省、防衛省、広島平和構築人材育成センターなどが独自にそれぞれ文民警察訓練を行っているが、これらの活動を統合して「日本が貢献している」ということを国際社会にアピールすべきである。日本だけでなく、各国も警察訓練などを行っているが、それぞれの概念や方法論が異なることがあり、支援されている現地側はどの方法論を受け入れるのが良いか当惑することがある。よって、日本が主導して「国際社会としてのあるべき警察」の方法論を確立し、統合した訓練を実施するべきである。その際に大切なのは、警察とは銃器を使用して治安を守るということが重要であるという考え方ではなく、「民主主義の理念に基づいて透明性のある活動を行う」こと、「文民のために中立に活動すること」という思考方法を根付かせることが大事であると強調した。

日本が国際貢献をするにあたって、長谷川教授は統合訓練センターを設立することを提案した。日本には、20年30年前に設立された多くの国立や公立の会館、会議場、訓練所が使用されなくなっている。それらの施設を充分に活用することは日本の国益にも合致する。国連平和活動統合訓練センターの詳細は以下のとおりである。
1. 新生国軍の戦闘関連以外の教育と訓練…国家機関としての運営、規律、災害派遣、住民との関係等「良き隣人としての軍隊」の教育・訓練、権力闘争での中立性
2. 国連文民警察官の育成コース…民主主義とコミュニティーの住民により信頼される警察の育成
3. 文民要員の育成コース…元兵士の社会復帰、選挙管理、法律整備、汚職削減など
設立運営方法
1. 国連機関として設置する場合、日本はその経費の12.5%を負担するだけである。
2. UNDP、ODA資金の活用となる。

<コメント、質疑応答>
Q. (首藤信彦衆議院議員)日本はどのようなPKO活動をしたらよいか、どのような危険性があるか。
A. 日本は外に出て行って、できるのだと国際社会に証明してほしい。国際社会の叡智を集めて、現地政府に「自分たちはできるのだ」と期待感、自信を持たせてほしい。ポール・カガメ ルワンダ大統領に「是非、民族間の和解や国民全体が恩恵を受ける社会づくりなど、外国の人たちが出来ないと思っていることなどを成し遂げてくれ」と伝え、カガメ大統領はツチ族とフツ族の共存という国際社会に無理だと言われてきたことを実現した。日本も、紛争の多い国々の指導者に対し、自信を持って民主主義社会建設に取り組んでほしいという期待感を示すのが重要であると答えた。

Q. (阪口直人衆議院議員)1993年にカンボジアで戦闘が激しくなり停戦合意が崩れる中で、現地で支援にあたる国連選挙監視員の安全の対策をより重視すべく、国連カンボジア統治機構(UNTAC)は全力で対応すべきだと長谷川氏が強く主張されたことは、その当時、国連選挙監視員の一人であった者として頼もしく感じた。その当時のように、PKO参加の前提が崩れた中で活動していくのは難しいことであると思うが、状況が変化したときに平和活動はどのように役割を変え得るのか。マンデートの役割を変えることは可能なのか。
A. 国連の新たな平和活動の指針の一つにあるように、現地の当事者のオーナーシップ(役割責任)を大事にするべきである。治安維持は現地の人の意識が大切であり、国連幹部職員が現地の指導者たちを説得し、共に活動し物事に対応していくことである。2006年に東ティモールで武力闘争が起こった際に、外国からの軍隊の再導入、事件の真相解明調査団の派遣を、東ティモールが受け入れることを進言した。

Q. (衆議院議員)信憑性とはどこを起点として、どのようにつくることができるのか。
A. (長谷川 教授)国連側としては、「出来ることと、出来ないことを初めから明確にしておく。期待感を持たせすぎないこと。」である。そして、マンデートを忠実に施行していくことである。それが、現地の人に対しての、国連の信憑性(credibility)を保つことになる。
A. (世取山 警視長)派遣されている者が規律をしっかり守るということ、口だけではなく行動で示すということが大事である。