【卒業生】土屋君の東ティモールでの活躍

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「[卒業生]この8・9月に東ティモールを訪問して、6か月まえより現地の国連事務所にインターンとして努めている長谷川ゼミの卒業生の土屋君の活躍には、びっくりしました。英語が上達して、その上に現地のテトン語を流暢に話し、会議でも積極的に発言する姿が素晴らしかったです。国連では選挙関係の仕事に従事しており、情報分析をする会議に参加したり、へリコプターで各地を飛び回って現地の状況を分析しているそうです。

今年の東ティモール研修旅行では長谷川ゼミの研修旅行のためのアポイントメントをとるために各機関と連絡を取ってくださり、UNDPのカントリーディレクターのアクバルやUNICEFの代表の久木田さんなどからも、ブリーフィングをするためのアポイントメントを取っていただきました。東大、早稲田、阪大からの学生との合同夕食会の準備をしてくださり、良い懇親会が出来ました。土屋君の今後のなお一層の活躍を大いに期待いたします。(長谷川)

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【インターンレポート】
土屋 喜生(長谷川ゼミ第二期卒業生)

<用語説明>
・ UNDP:国連開発計画
・ UNEST:東ティモール国連選挙支援チーム
・ UNMIT:東ティモール国連統合ミッション

東ティモール国連選挙支援チーム(UNEST)でインターンをしている土屋喜生です。

<UNEST>
私がインターンをしているUNEST(United Nations Electoral Support Team)は、東ティモール政府の選挙運営機関や選挙監督・監視を行っている独立機関とともに選挙の準備・実施にあたっています。具体的には、選挙法整備、公民・投票者教育、選挙物資の配給、政党の能力強化、地方にある資料センターの運営などに関わっています。

又、UNESTは、国連による選挙支援の効率化・一元化を図るため、UNDPの選挙サイクル支援プロジェクトとUNMITの選挙支援チームが統合されてできた機関です。これは東ティモールにおける“ONE UN”の先進的なモデルとなっており、UNDPの職員とUNMITの職員が同じオフィスで一緒に働く形をとっている珍しい機関です。

<2009-2010、東ティモールの選挙>
今回のインターンシップの主要な目的は、近々実施される2種類の重要な地方選挙の準備と実施に、国連の側から関わることで経験を積むことです。1つは、10月9日に投票日を迎える全国同時のコミュニティーリーダー選挙(村長・村議会選挙)であり、2つ目は来年度の初めに行われる予定の市議会・市長選挙です。

一つ目のコミュニティーリーダー選挙の準備段階においては、選挙法案が議会において強行採決されたり、合憲性審査のため、大統領が選挙法案を上告裁判所に送ったりするなどの政治的な動揺がありました。又、個人的には、東ティモール国民のための公民教育のための資料作成に関わったり、政党員たちの選挙法理解を高めることを目的としたイベントにアシスタントとして参加する機会があり、非常に興味深いものとなっています。

又、2つ目の市長・市議会選挙は歴史的に重要なイベントになると考えられています。現在、東ティモールは、中央政府の指名によって市長たちが任命される中央集権的な体制をとっており、選挙された地方自治体が存在しません。それゆえ、来年の市議会・市長選挙は、東ティモールにおける選挙された自治体の創設につながるという意味で大きな変革をもたらすことが予想されています。

<私自身のインターン>
3月にこちらに来た当時、3年生を終えた普通の大学生でした。留学経験もなく、付属高校出身のため大学受験も浪人もせず、アルバイトもせず、東京で実家暮らしをしていました。しかし、2回にわたる長谷川ゼミの東ティモール研修旅行への参加を通してこちらでのインターンについて考えるようになり、長谷川教授のご協力をいただき、最終的にUNESTで受け入れられることになりました。

このような文脈で生きてきた私にとって、一人での東ティモールでのインターン生活はとても大変なものでした。さまざまな文化的背景を持った人たちとの生活、多言語の環境、初めての海外一人暮らし、何よりも国連で働くということに対する自分自身の未熟さ…キャパシティオーバーでした。

しかし、そんなインターンの始まりの頃、ルーマニア出身の上司に教えられました。
「しっかり生きようと思うなら、自分の人生について一人で深く考える時間が必要なんだ。喜生、お前にとって、それは今なんだぞ。」と。

ここで働いているとびっくりしたり、自分の未熟さに情けなくなったりすることもありますが、世界中から来た人たちや要人たちと一緒に働くことでたくさんの新たな発見があります。自分の人生について真剣に考えなければならないこの時期に東ティモールに滞在し、国連という特殊な組織で働くことができるのは、とても幸いなことだと感じています。

現在、私はUNESTの管理チームのアシスタントとしてインターンをしています。具体的な作業内容は、UNESTスタッフのスケジュールの管理・共有、ナショナルスタッフのレポートの編集、上司のプレゼンテーションやトレーニングチームが参加するイベントのアシスタント、リクルートのお手伝い、地方施設の視察、その他コピー取りや封筒の準備などがあります。テトゥン語―日本語の通訳のようなこともしています。

実はこのインターン終了後も、また東ティモールに戻って働きたいと思い始めています。そのために、もう1つの公用語であるポルトガル語を勉強し始めている私です。

8月の終わりから9月中旬にかけては、長谷川先生と長谷川ゼミの後輩たちが研修旅行のために東ティモールを訪れました。彼らと一緒にさまざまな機関を訪問するのはとても楽しい時間でした。

後輩たちをティモールの空港で見送った際は、不覚にも「ちょっと寂しいな。」と思ってしまいました。後輩たちの研修旅行レポートを楽しみにしています。

今は、10月9日のコミュニティーリーダー選挙の投票日に向けての準備を頑張っています。

また進展があり次第報告します。